スウィングキッズ

スウィングキッズを見たので感想をつらつらと書いていきます。

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オレンジ色を背景に男の人がふたり笑顔で飛び跳ねているこのイメージポスターの雰囲気、そしてタップダンスというワードから視聴前はポップさを感じてて、タップダンスで戦争をどうにかしていく話かなって漠然と思ってました。

が!

全然違ってて、しっかりと戦争の残酷さを伝えてくるそういう作品でした。

まだちゃんと映画の内容を消化できてない上に見るのが辛くて繰り返し見ることが出来ないので記憶と直後の自分のツイートを頼りに文字に起こしてます。解釈違い起こしてたらすみません。

 

映画の時代背景は、朝鮮戦争中の巨済捕虜収容所。習ったんだろうけどすっかり頭から抜け落ちていて正直終始ついていけなかったです。

物語自体スピード感もあるし、そもそも韓国映画。時代背景を知ってて当たり前なので、予備知識がないとあっという間に置いて行かれます。置いて行かれても全然楽しめるし落ち込めるんですけどね←

 

さて、私がこの映画で引っかかったものの話をしますね。

 

イデオロギー

無知なのでどういう意味かわからなかったです!簡単にいうと、「思想や考え、信念や理念をまとめたもの」だそうです。Google先生が教えてくれました。

 

密告者だとギスにバレたときにマンチョルが言ってた「資本主義や共産主義アメリカやソ連が勝手に作り出したものだ」という言葉が何故か刺さって、収容所にいる人たちは思想について自分の意見を持っていたのかなという疑問を持ちました。

「家族恋人仲間を殺した、傷つけた向こう側の人間が憎いから自分はこっち側の人間として生きるし向こう側を許さない」とか「職業訓練出来るし普通に暮らすことが出来るからこっちに残りたい」とかそういう感じじゃないのかなって。

物語の最初の方は北の人も米国の食べ物を食べたり髪の毛を伸ばしていたりしてて、ギスも後ろめたさを感じつつもドンドンとタップダンスに魅了されていっていたのに、手足を失ったクァングクが帰ってきて戦場の現場を伝えた途端に皆憎しみを持ち始めて大量殺人を起こし始めた。

一番分かりやすい例が収容所の子供ギドン。ギスがタップダンスの練習をしているのを知り「自分にも教えて!」と言っていたのに、クァングクの話を聞いた後は集会では前に立ったりギスのことを密告したりしてて、なんでお互い憎しみ合うことになったかの根本的なものは理解してないんだろうなあと感じました。

 

だからクリスマスパーティーでジャクソンが言ったあの言葉がしっくり来ないんですよね。たしかに、イデオロギーの違いさえなければ失われずに済んだ命は沢山あるだろうしスウィングキッズの5人もただの友達ただのダンス仲間になれたのだろうけども。

未だにモヤモヤしててちゃんと知識を入れてからもう一度見ようと思ってるんですけど、中々見られない心情です(笑)

 

タップダンス

この映画で欠かせないもの。全編通して15回ものダンスシーンがあり、そのほとんどを出演者たち自身が踊っていたそうです。

魂のこもったダンスはどれも圧巻で、ダンスを通して意思疎通をしたり対決をしたりしている様子からは見ているこちら側にも訴えてくるものがありました。

中でも、Modern LoveをBGMにギスは体育館から出て鉄格子を蹴破りながら踊り、パンネは「アカ*1は出て行け!」と行進する人たちの中を逆走しながら踊るシーンが特に好きです。本当はこうしたい!ただ踊りたい!というものが伝わってきたと共に、現実はそうはいかない厳しさも伝わってきました。

ダンスの前では皆ダンスを楽しむひとりの人間なのに、そういう娯楽や自由を全否定してくるのが戦争なのだなと嫌でも思うくらい陰と陽の対比がダンスによって明確に表されていました。

 

ギョンスさんの演技

私がこの作品を見るきっかけとなった主演のド・ギョンスさん。毎度のことですが今回も演技力に脱帽しました。

特に目や表情で表現することが多かったように感じてて、喜怒哀楽そして絶望を言葉なしにでも感じることが出来ました。ギョンスさんはちょっとした表情の変化や目線の動かし方が細やかで上手だな〜って思います。

あとは、ちゃんと作品に没頭させてくれるところ。普通、好きなアイドル目当てでドラマや映画を見ると役柄ではなくその人として見てしまうのに、ギョンスさんの場合はそれが無いんです。どの作品にも言えることなのですが、この作品には特に没頭してしまったなと思いました。(お陰様で数日病みました)

画面の中にはド・ギョンスではなく間違いなくロ・ギスがいて、私はギスの青春の1ページを見ていました。

 

 

スウィングキッズとても良い作品です。まだ見てない方、是非一度見てみてください。書き足りないことが山ほどあって悔しいですが既にめちゃめちゃ長いので切り上げます!

 

おわりでーす

 

*1:共産・社会主義者を刺す言葉。